SCITEC DVP-550DX
DVDビデオだけでなく、MpegやDivxファイルが再生できると言うことで購入した機種です。画質に影響する設定は シャープネス:中、明るさ、コントラスト、色合い、彩度はすべて00、ガンマ:オフ で測定しています。
コンポジット出力

改良SMPTEカラーバーをみると輝度レベルは6%程度大きくなっています,クロマレベルは輝度に対して若干低めです。同期パルスのレベルも輝度と同様大きくなっています。これから後段のバッファのゲインが多少大きすぎるのが原因と思われます。PLUGEの104%は正しく再現されていますが、-4%はつぶれています。-I、Q信号は正しく出力されていますので、RGB変換されているわけではなく、単に輝度が16で頭打ち(底打ち?)されているようです。
クロマ位相はごくわずか右回りのように見えますが、誤差範囲です。−I、Q信号も問題ありません。
以下の測定はコントラスト:-03、彩度:02と設定して行いました。これで信号レベルはほぼ正しくなりますが、同期信号のレベルはそのままです。

ステアステップで等諧調性をチェックします。
5Stepの波形はリンキングもなく素直な立ち上がりです。
次にフルスケールのランプ波形ですが、0%以下がサプレスされていますが、上はすべて出力されています。変調ランプについても0%以下のサプレス以外は問題ありません。

輝度信号の帯域をチェックします。左上が水平スイープ、右上が垂直スイープ、左下が低周波スイープ(垂直)になります。

少々癖のある形をしています。2.5MHzあたりからわずかに下がりだし、4MHzあたりで底になり、5MHz付近にわずかなピークがあります。エイリアスは5.5MHzあたりから発生しています。よく見ると0.5MHzから下でレベルが上昇しているように見えます。低周波スイープを見ると、こちらはフラットです。結局0.5MHzで一段下がり、2.5MHzでもう一段下がり、5MHzにわずかなピークがあるという特性のようです。この理由はよくわかりません。


インパルス応答です。上下のピーク共レベルが低くなっています。左右の対称性は比較的良いほうです。補間フィルタは9タップ(補間前で)のように見えます。

その他の信号も素直な特性ですが、2.5MHzからのゲインの減少の影響が出ています。ステップ部分ののリンキングはない代わりに、エッジがわずかになまるようです。NTC7コンポジット信号の12.5Tパルスの輝度とサブキャリアのピーク位置がそろっていないのは、水平位置のポジショニングがCCIR601に準拠していないことを示しています。これは視聴上はまったく問題ありません。
コンポーネント出力 インターレース

コンポーネント(YCbCr)出力をチェックします。

輝度(Y)についてはコンポジット信号と同様です。これは既に記したとおりです。


上がCb、下がCrの水平スイープです。かなり特徴的な形をしています。まず大きく高域が減衰しています。次に、点々のようなものが見えます。これはD/Aの出口のホールド波形をそのまま使用しているとも見えますが、むしろ映像をピクセルデータとして出力していると見たほうが適切です。点と点をつなぐ線も見えますが、おそらくこれは後段の時定数によるものと思われます。なだらかで広帯域にわたる高域の減衰はピクセル画像に使用されるぼかしフィルタの特徴です。

インパルス応答を見ます。やはりぼかしフィルタが使用されているのがわかります。ぼかしフィルタとアンチエイリアシングフィルタの違いは、フィルタ係数にマイナスが含まれず、中心の係数が1よりも小さく、両側に単調に減衰してゆくことです。波形を見るとピークが半分以下で釣鐘状でアンダーシュートがありません。またピークの部分が2ピクセル分あるように見えますが、これは2倍に拡大する際にバイリニア法などの手法が使用されているためです。これは線形補完といっても、サンプル点を直線で結ぶ直線補完とは異なります。
想像をたくましくして処理を推理すれば、バイリニア法で2倍に補完→かなり強いぼかしフィルタ→D/A→簡単なCRによるハイカットフィルタ→バッファという感じでしょうか。

参考のため、もう少し観察してみます。フィルタリングなしのSMPTEカラーバーのCbを観察すると、遷移部分に6つの点(ピクセル)が見え、インパルス応答と同じぼかしフィルタの効果が確認できます。一方垂直カラーバーのベクトル波形を見ると遷移部分に4つの点が確認できます。これから垂直方向には4点のぼかしフィルタがかかっていることがわかります。結果として横方向に縦方向の1.5倍のぼかしがかかていることになります。

その他の伝達特性をチェックする信号です。Sin(X)/X信号(ナイキスト周波数3MHz)の振動部分がぼかしフィルタによって、完全に抑圧されています。
コンポーネント出力 プログレッシブ

これは予想通り、同じ傾向です。復調用LSIのモードを切り替えて、倍速で読み出していると思われます。周波数が2倍になっているため、高域の減衰が大きくなっています。これは後段のバッファの帯域がやや狭いためと思われます。(あるいは波形モニターの帯域か)

CbCrについても同様です。周波数が上がったため、ピクセルのステップは目立たなくなっています。

その他も同様と思われるので省略します。

オーディオ アナログ出力

オーディオについてはごく基本的な信号のみ収録していますのでS/N(ノイズ)、歪率、周波数特性等の基本的な特性をチェックします。
計測結果を拡大するにはサムネイルをクリックしてください。文中のリンクはリファレンス波形へのリンクです

残留ノイズ、S/Nをチェックします。
左上がシステムメニュー表示時です。ノイズフロア自体は-140db程度ですが、水平周波数(約
15.7KHz)をはじめとして映像信号がかなり混入しています。
右上は無音(1KHz、-120db、16bit)再生時で1KHz以下のノイズフロアが上昇しています。また30Hzにピークが現れます。これはモーターの影響でしょうか。
下は1KHz、-120db、24bitですが、ノイズフロアが全体的に上昇し、信号は識別できません。

歪率をチェックします。左側が16bit、右側が24bit、上段が-10db、下段が-90db、周波数はいずれも1KHzです。
-10db、24bitの結果を見ると、3次ひずみが-100db(信号比-95db )程度出ています。-10db、16bitではこれに量子化ノイズ(奇数次)が加わります。

周波数特性をチェックします。左がリニアスープをピークホールドしたもの、右がホワイトノイズを平均(300パス)したものです。高域端が少し下がります。リニアスイープの低域が大きく落ち込んでいるのは再生の最初0.2秒ほどミュートがかかるためです。
測定する際の注意
オーディオ S/PDIF出力

1kHz、-10dbの左が16bit、右が24bitです。24bitも正しく出力されていますが、わずかに余分な高調波が付加されています。

総評としては、コンポジット信号は視聴用としては良好な画質といえますが、周波数特性に癖があるため、基準信号源として使用する場合は注意する必要があります。

CbCrがピクセル処理される件については、高精細ディスプレイを使用した場合やはり画質的に不利です。さらに本機の場合強いぼかしフィルタがかかっているため、コンポーネント入力モニタ上で色差スイープ信号を見ると、1.5MHz付近から減衰がはっきり判り、3MHzではかすかに判別できる程度になります。NTSCよりは良いですが、色信号帯域が広いというDVD(Mpeg)のよさが十分生かされていません。もっとも、価格を考えれば、それほどシビアに画質を云々すべきではないでしょうが。


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