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PCのCPUが486かペンティアム無印の時代にPCでDVDを再生するためのハードウェアデコーダガードというジャンルがあり、その中でもっともメジャーだったのがRealMagic Hollywood+というカードでした。ここで取り上げるVH-RecorderはHollywood+にMpegエンコーダーを付加したカードで、デコード部分はHollywood+と同等です。今ではあまり実用性はありませんが、参考として測定しました。 ドライバ/再生ソフトはREALmagic Hollywood Plus drivers Release 2.41、コンポーネント出力の測定にははEugene's DVD player 0.995を使用しました。 |
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コンポジット出力 | ||
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改良SMPTEカラーバーをみると輝度レベルは5%程度大きくなっています,クロマレベルは輝度に対して若干低めです。同期パルスのレベルも輝度と同様大きくなっています。また若干オフセットがあり黒が浮いています。PLUGEの-4%と104%は正しく再現されています。 クロマ位相は正確ですが、わずかにジッタがあり、輝点が広がっています。 以下の測定は明るさとコントラストを2ノッチ下げ、彩度を2ノッチ上げて観測しています。 |
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ステアステップの5ステップの波形は素直な形ですが、よく見ると上向きのエッジにはわずかなオーバーシュートがあり、下向きのエッジは多少なまっています。 次にフルスケールのランプ波形ですが、上下とも全範囲出力されています。変調ランプについても問題ありません。ただし、明るさやコントラストの調整はDACの入力側にかかります、つまり明るさをあげると上がクリップし、下げるとしたがクリップします。本来、DACの入り口は復調されたデジタルデータですから調整の必要はないはずで、ちょっと不思議な仕様です。 |
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スイープ信号で輝度信号の帯域をチェックします。左が水平スイープ、右が垂直スイープです。 かなりハイ落ちの特性です。3.8MHz付近で-3dbになっています。ぼかしフィルタの特性のようにも見えますが、年代を考えるとアナログフィルタの特性かも知れません。またエンベロープのでこぼこも目立ちます。 |
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インパルス応答です。上下のピーク共レベルが低く、左右の対称性も大きく崩れています。デジタル補間フィルタは使用していないかもしれません。 | |||
その他の信号を見ます。NTC7コンポジットの12.5Tパルスを見ると輝度とクロマのディレイに差があります(輝度が遅れ)。このあたりもアナログフィルタの使用をうかがわせます。輝度の変調ウェッジ波形のエンベロープが階段状になっているように見えます | ||||
コンポーネント出力 インターレース | ||
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コンポーネント(YCbCr)出力をチェックします。
輝度(Y)についてはコンポジット信号と同様です。これは既に記したとおりです。 |
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上がCb、下がCrの水平スイープです。レベルが大変高く、1.0Vp-pで出力されているようです。コンポーネント出力の標準が定まる前の製品なのかもしれません。表記もYCbCrではなくYUVとなっています。帯域も非常に狭く、NTSC/PALに準ずるフィルタをかけているようです。 以下の測定は波形モニタのレベルを調整してスケールを合わせています。 |
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インパルス応答を見ます。レベルが低くアンダーシュートはごくわずかです。アナログフィルタ的な特性です。100%を示すマーカーのラインが波打っているのも気になります。周波数は色差のナイキスト周波数(3.375MHz)でしょうか。 | |||
その他の伝達特性をチェックする信号です。マルチパルス波形を見ると直線補完後アナログフィルタがかかっているように見えます。変調ランプや変調ウェッジのガイド線が不連続になっています。DACの性能があまり良くないようです。 | |||
総評としては、やはり古さを感じさせるもので、信号源には向いていないといえるでしょう。このカードに使用されているチップはEM8300というもので、開発元のSigma Design はその後EM8400(Mpeg-4対応)、EM8500(HDTV対応)、EM8600と後継機種を開発しており、それらは当然現代的な性能を持っていると思われます。 | |||
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