I・O DATA GV-MPV/GX2
ゴーストリデューサー、TBC、3DY/C分離等の機能を持ったハードウェアエンコードTVキャプチャカードです。チューナーはソニー、ビデオデコーダはNEC、エンコーダはXCordII-Eが使用されています。
キャプチャは基本的にVBR、3Mbps、3DNR:1、AGC:Off、それ以外は標準状態で行いました。
S-Video入力

輝度516、コントラスト146、鮮やかさ125でほぼニュートラルになります。以下同じ設定で測定しています。

波形はくせのないすっきりとした形で、ノイズも少なめです。
104%、-4%も問題なく出ています。
下段は9.8Mbpsで録画したものですが、若干ノイズが多くなります(特に200ラインの0%黒など)。MTVX-SHFも同様ですので、エンコーダ(XCordII)の特性と思われます。ビットレートが上がって、ソースに含まれるノイズが再現されているというより、余計なMpegノイズが付加されているようです。


ステアステップで輝度信号のリニアリティーをチェックします。
5Stepの波形を見るとリンキングやノイズが少なくきれいなかたちです。ごく一部に振動状のノイズが発生しています。
フルスケールのランプ波形は上下ともすべて出力されています。多少ノイズが多めです。変調ステアステップ、変調ランプについては、輝度のノイズは少ないですが、相対的にクロマノイズが多めです。

クロマステアステップでクロマ信号のリニアリティーをチェックします。左が
5Step/60度、右が連続のいずれもNTSCサブキャリア等幅のベクトル波形です。いずれも全域出ています。

スイープ信号で輝度信号の帯域をチェックします。
左が水平スイープ、右が垂直スイープ波形です。

高域にかけて緩やかに減衰していますが、帯域は広く、-3db点は5.8MHz程度です。
水平スイープ波形にところどころ櫛の歯が欠けたようなところがあります。エイリアスではなさそうで、あまり見慣れない形です。理由は良くわかりません。


同じくクロマサブキャリアの帯域を調べます。I、Q方向で帯域の差はありませんので、I軸方向の垂直スイープを見ます。-3db点は0.7MHz程度ですが減衰は緩やかで、Null点は1.8MHz程度です。

AGCはOffに設定していますので効いていません。
AGCとは関係ありませんが、背景が切り替わる際に中間調の1フレームが観測されます。これは3DNRの影響と思われます。一口に3DNRといっても色々なアルゴリズムが考えられますが、本機の場合この設定では、単純に2フレームの平均を行っていて、シーンチェンジの検出等は行っていないようです。(シーンチェンジを考慮する場合は少なくとも3フレームのデータを使用しなければなりません)
同じ理由で1Hzサイン波形は2重になっているように見えます。

NTC7コンポジット12.5Tパルスをみると輝度、クロマの遅延差はほとんどありません。(ちなみに本機の場合設定で遅延差を補正することが可能ですが、測定の際は行っていません)
NTC7コンビネーションのバースト部分にも、櫛の歯状の欠けが見られます。
コーリングチェック信号をみると周波数が上がるにつれ振幅が全体に小さくなっています。一般的なアルゴリズムとは異なりますが、何らかの処理が行われていまる様です。
Y=U=Vの階段波形は下のほうでU(Cr)の振幅が少し小さくなっていますが優秀です。
コンポジット入力

輝度516、コントラスト147、鮮やかさ125、色あい130でほぼニュートラルになります。以下同じ設定で測定しています。
コンポジット入力でもS-Video入力とほとんど差がありません。静止画の場合3DYC分離でほぼ完全に分離できるためその差はわかりません。

輝度、クロマの帯域ともS-Video入力時より広くなっています。輝度の水平スイープの欠けはみられません。
クロマについては1.8MHz(サブキャリア周波数の1/2)を超えて振幅がありますが、この部分はドット妨害が発生しています。

クロマ信号のリニアリティーはS-Video入力時と同様です。

AGC/3DNRの効きもS-Video入力時と同様です。

その他の信号もとS-Video入力時と大差ありません。
Y=U=Vの階段波形だけは、YUVとも上下がクリップしています。これはコンポジット信号の段階でクリップしていることを示しています。
オーディオ

オーディオについては録画したMpegファイルから音声を分離し、WAVファイルに変換後、WaveSpectraのファイルモードで観測しています。標準状態では、ややレベルが高く、24に設定するとほぼ100%になります。
ビットレートは192、256、384kbpsの3種類を調べました。

残留ノイズ、S/Nをチェックします。
左上が192kbps、右上が256bps、左下が384kbpsで以下同じです。
ノイズフロアは-120db以下で優秀ですが、60Hzとその高調波の回り込みが-85db程度あります。

歪率をチェックします。フィルタ特性の違いにより高域の特性が多少異なりますが、大差ありません。最も大きいのは5次ひずみで-80db強(信号比-70db強)出ています。

ホワイトノイズで周波数特性をチェックします。192kbpsでは15KHz、で急峻なフィルタがかかっています。256bpsでは20KHz、384kbpsでは21KHz程度まで大きく減衰しながらも記録されています。

全体に優秀な特性です。測定範囲内で気になる点は、S-Video入力時の輝度スイープの欠け、3DNRが単純な平均になっていることくらいです。Mpegエンコーダ(XCordII)の動特性は測定できませんのでなんともいえませんが、静止画に限れば、ビットレートが上がるほどノイズ(Mpegアーティファクト)が増えるのは気になります。

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