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ゴーストリデューサー、TBC、3DY/C分離等の機能を持ったハードウェアエンコードTVキャプチャカードです。コンポーネント(D1)入力をサポートしているので地上/BSデジタル放送のキャプチャでは有効なはずです。 キャプチャは基本的にVBR、3Mbps、3DNR:Lowで行いました。ビットレートをあげると、ノイズが増大し、かえって画像品位が低下します。 |
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S-Video入力 | ||
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ステアステップで輝度信号のリニアリティーをチェックします。 5Stepの波形を見ると全体の形は正確ですが量子化に伴うノイズが見られます。一部に振動が発生しています。 フルスケールのランプ波形は上下ともすべて出力されています。やはりノイズが多めです。変調ステアステップ、変調ランプについても同じ傾向です。 |
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クロマステアステップでクロマ信号のリニアリティーをチェックします。左が 5Step/60度、右が連続のいずれもNTSCサブキャリア等幅のベクトル波形です。いずれも全域出ているようです。Eb(U方向、横)がEr(V方向、縦)より若干ゲインが小さくなっています。 |
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スイープ信号で輝度信号の帯域をチェックします。 左が水平スイープ、右が垂直スイープ波形です。 上段がシャープネス0(デフォルト) 中段がシャープネス+3 下段がシャープネス-3です。 デフォルトでは高域にかけて緩やかに減衰していますが、帯域は比較的広く、-3db点は5.3MHz程度です。 |
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同じくクロマサブキャリアの帯域を調べます。I、Q方向で帯域の差はありませんので、I軸方向の垂直スイープを見ます。帯域は広く、-3db点は1.2MHz程度です。そこから1.7MHzにかけて急速に減衰しています。このためステップ部分にリンキングが発生していると思われます。実際の放送には急峻なステップは含まれていないと思われますので、好ましい特性といえます。 | |||
AGCの効き具合をチェックします。 輝度、クロマともAGCはまったくかかっていません。通常の使用ではこの方が良いと思われます。 AGCとは関係ありませんが、18フレーム周期でノイズレベルの変動が見られます。これはGOP構造によるものと思われます。 クロマのゲインのアンバランスも目立ちます。(これは一部再生側の問題かもしれません) 1Hzのサイン波もほぼ正確に記録されています。但し上下のピーク付近がかすかにつぶれています。 |
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NTC7コンポジットの12.5Tパルスをみると1ピクセル程度クロマが進んでいます。 コーリングチェック信号をみるとコーリングは行われているとしてもごくわずかです。 Y=U=Vの階段波形を見ると、AGCとは反対にU(Cr)の振幅が上下で少し小さくなっています。 |
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コンポジット入力 | ||
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コンポジット入力でもS-Video入力とほとんど差がありません。静止画の場合3DYC分離でほぼ完全に分離できるためその差はわかりません。 | |||
輝度、クロマの帯域ともS-Video入力時と同様です。 | |||
クロマ信号もS-Video入力時と同様です。 | |||
AGCの効きはもS-Video入力時と同様です。 | |||
NTC7コンポジットの12.5Tパルスをみると輝度とクロマのディレイ差はほとんどありません。 コーリングチェック信号をみるとかすかにコーリングが行われている様です。 Y=U=Vの階段波形を見ると、YUVとも上下がクリップしています。これはコンポジット信号の段階でクリップしていることを示しています。 |
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コンポーネント入力 | ||
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本機の優位点であるコンポーネント(D1)入力ですが、芳しくありません。コンポジット波形(黄色)の75%ホワイトや0%の部分の線の幅が太くなっていますが、これは色差(UV)信号にオフセットがありそのために無彩色の部分に色が乗っているためです。クロマ位相もずれており、中心点(無彩色)が2つに分離しています。 | |||
垂直カラーバー波形を見ると現象はよりはっきりします。色差信号がローカットフィルタをかけたような波形になっています。カップリングコンデンサの容量が(2桁くらい)少なく、ライン毎のクランプがかかっていないようにも見えますが、収束点が一定しないので別の理由と思われます。フラットフィールド(全面1色の映像)をチェックすると最初(画面の上部)は色差のレベルが急減しますが、やがてある程度のレベルでとどまり、その後ややレベルを戻します。水平ブランキング部分を考慮しても平均DCレベルがゼロになるわけでは無いようです。
この現象は色差信号の1ラインの平均がゼロに近い映像(水平カラーバーなど)では目立ちませんが、青空や海などの映像では色相が大きく補色方向へずれることになります。 |
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輝度の帯域はS-Video入力と同じですが、クロマの帯域はさすがに広くなっています。-3db点は2.3MHz,Null点は2.7MHz程度ですが、再生側の帯域を考えるともう少し広いかもしれません。 | |||
オーディオ | ||
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オーディオについては録画したMpegファイルから音声を分離し、WAVファイルに変換後、WaveSpectraのファイルモードで観測しています。 FATHERではリニアPCMでも録音できますが、その場合は別のサウンドカードからの入力になりますので、本体入力のMpeg Audio(mp2)で測定を行います。ビットレートは192、256、384kbpsの3種類を調べました。 |
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残留ノイズ、S/Nをチェックします。 左上が192kbps、右上が256bps、左下が384kbpsで以下同じです。 ノイズフロアは-120db以下で優秀ですが、60Hz、1.5KHzとその高調波の回り込みが目立ちます。 |
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歪率をチェックします。フィルタ特性の違いにより高域の特性が多少異なりますが、大差ありません。最も大きいのは5次ひずみで-80db強(信号比-70db強)出ていますが、問題ないレベルです。 | ||||
ホワイトノイズで周波数特性をチェックします。192kbpsでは15KHz、で急峻なフィルタがかかっています。256bpsや384kbpsでは大きく減衰しながらも20KHzまで記録されています。 | |||
MTVX-SHFには上記以外にもうひとつ問題点があります。それは記録レベルが一定しないという問題です。上で見た様に映像の平均レベルに反応するAGCは働きませんが、入力を切り替えた時や、チャンネルを切り替え時に、その時の映像に応じてレベルが調整されます。切り替えた時の映像のレベルが高ければゲインが低めに、逆にレベルが低ければゲインが高めに設定され、それ以降は変更されません。これでは事前ににレベルを合わせても意味がありません。この点と上で見たコンポーネント入力の色差の問題は明らかな不具合ですから、メーカーには対応を願いたいと思います。それ以外は輝度、色差とも比較的広帯域で、全体に素直な特性です。ただコーリングがほとんど行われていないため、量子化に伴うノイズが多く、多くのビットがノイズに消費されている様です。特にビットレートが上がるほどノイズ(Mpegアーティファクト)が増えるのは不思議です。 | ||
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